ファッションアイテムとしてだけでなく、ライフスタイルに寄りそうバブアーの魅力に迫る「Barbour
Way of Life」。
今回は、ファッションやカルチャーの多大な影響を受け、アパレルのバイヤーを経て、盆栽に開眼。ストリートカルチャーと伝統的な盆栽文化を融合し、世界へ向けて発信する「TRADMAN’S
BONSAI」創業者・CEOの小島鉄平さんに話を伺った。
「僕が盆栽に魅せられるのは、”一代で築くことができないもの”に強く魅力を感じるから」と小島さんは言う。盆栽は人の世話がないと生きていけないもの。それを毎日繰り返す何十年もの間に、針金かけや剪定で理想の木の形に近づけていくけれど、木よりも先に人間は死んでしまう。「そうして“受け継がれて”きた樹齢何百年の盆栽に、“置き手紙”のように積み重なった何人もの作家やオーナーの“想い”や“エゴ”を紐解くようにして受け取り、自分なりの手を加えて、次の世代へ渡していくんです」
オールドスクールな盆栽をリスペクトしながら、ニュースクールな作り方や魅せ方をする「TRADMAN’S
BONSAI」のスタイルは、国内に留まらず世界中に日本の盆栽の格好良さを知らしめている。その根底には、伝統文化にこそ変化や進化による革新が必要でそれが新しい伝統となって受け継がれていく、「伝統とは革新の連続」というフィロソフィーがある。その世界観に惚れ込み、さまざまなバックグラウンドを持ちながら熱い心根をもって“入門”を熱望したメンバーが集まるチームの仕事は、まさに革新の連続といえる。
小島さんと盆栽は運命的に結ばれている。幼少期に育った児童養護施設で園長先生が盆栽を愛でていたことで興味を持ち、水やりなど世話を習って趣味として始めた。小学生で転校した先は千葉県柏市“松葉町”の“松葉小学校”と、盆栽の代表的な木である松の名がつくのも不思議な縁だ。その後、ヴィンテージ好きが高じて20代でアパレルバイヤーに。海外で買い付けに入ったショップでジャンクな盆栽を目にして、日本古来の本物の盆栽を世界に発信したい、と一念発起。30歳で「TRADMAN‘S
BONSAI」を立ち上げた。
100年以上の歴史を持つバブアーもまた、毎日の生活に寄り添い、その人特有のあたりがでたりほつれたりしながらオイルで手入れをして、世代を超えて受け継いでいけるところに盆栽との親和性を感じるそう。
「僕の初代のバブアーはサイズアウトしちゃって、息子に譲りました。当時は大切に着ていましたが、本来はガシガシ着るもんじゃないかな。今はワークウェアとして盆栽の手入れをする時も着込んでます。松脂がついたりしてもいいんです。時々修復をしたりしながら、いずれまた息子に譲って、息子がまた…と“受け継いで”いけたら最高ですね」
盆栽とバブアー、どちらも、一代では成し得ない“時を纏っている”もの。「過去を汲み取りながら、好きなこととか自分が格好良いと思うことをやり続けることがどれだけ大事か。受け継いだものを古くさせずに、次世代に伝えるためには絶対必要なこと。目先のことよりも未来のことを考える、そういう人生の生き方みたいなことも、全部盆栽から教わったなと思っています」